毎月分配型投資信託の分配金という名の元本払い戻しは絶対にいらない

個性的なイラストが評判を呼んでいる、ますい画伯のブログで毎月分配型投資信託に関する議論が盛り上がっているようです。

参考

暇つぶしに毎月分配型企画です。マネーリテラシーって何かね? | ますい画伯とインデックス投資?

毎月分配型企画にコメントをいただきました。 | ますい画伯とインデックス投資?

新設される積立NISAでは、露骨な毎月分配投信外しの対象商品の条件設定がなされました。しかし、上記リンク先のコメント欄への投稿を読んで、まだまだ世間には毎月分配投信の投資上の不合理さの認識が広まっていないと感じました。そこで、今回は、毎月分配投信の元本払い戻し問題について考えてみることにしました。

分配金の元本払い戻しには意味がない

毎月の分配金を150円から200円に拡大して、昨今、急速に純資産を拡大させた「LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)」というファンドがあります。元々、高配当な傾向にあるオーストラリアの高配当株に投資するだけあって、このファンドのポートフォリオの予想平均配当利回りは5.2%という高利回りとなっています(2017年3月レポート)。

ただ、残念なことに、SBI証券の情報によると、分配金利回りは12.42%となっています。長期的な株式投資での年率リターンは一般的に、インフレ調整後で5%前後となっていますから、この分配金は多さは無謀としか言いようがありません。シーゲル教授の研究で、オーストラリア株の1900年からおよそ100年のリターンは、世界の平均より高いことが判明していますが、それでも2桁%のリターンを上げるには至っていません。

交付運用報告書を見てみると、毎月の分配金の原資がその月の収益だけでまかなわれていない月が多々あることに気づきます。

元本の払い戻しを投資信託から受けるのは、仕事を辞めて里帰りしてきた無職の息子と同じくらい意味のないことです。生活にお金が必要なら、その分は銀行に預金として確保しておけばいいだけのことです。何も、ぼったくり水準の購入時手数料や信託報酬を支払う必要はないのです。

毎月分配投信支持者からは、毎月の分配金で下落相場に備えて、「自動的に利益確定」できるという声も聞かれます。毎月分配投信の投資戦略?である「自動的な利益確定」が功を奏することも相場の展開によってはあるでしょうが、株式投資・債券投資がプラスの期待値を持っていることを考えると、価格変動リスクにさらすことが許容できる資金については市場に置いたままにしておくのが賢明な投資戦略だと思います。

配当を得ようとする投資戦略自体は悪くない

今回、取り上げた「LM・オーストラリア高配当株ファンド(毎月分配型)」に関しては、投資する価値のないファンドという評価を下すほかありませんが、配当を主軸に据えた投資戦略そのものは悪くないと思います。高配当株や連続増配株は市場平均を過去、上回ってきたというデータがありますから、低コストな分散投資を実践することができれば、良好なパフォーマンスを享受することができるかもしれません。

高配当株や連続増配株への投資で、安定的な配当金を得ようとするのは、定期収入を失ったリタイア者の心理としてよく理解できます。その個人投資家の思いを踏みにじるような、高コスト毎月分配ファンドが跳梁跋扈しているのが現在の日本の状況です。

そういった観点からみると、高コストアクティブ投信に積立NISAという大鉈を振おうとしている金融庁を煮え湯を飲まされてきた個人投資家を救済する救世主として解釈することもできるでしょう(低コストアクティブファンドも大鉈の巻き添えを食らっているので、私は熱狂的に金融庁を礼賛することはしませんが)。

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