ひふみ投信、純資産2000億円越えで迫られる脱日本中小型株ファンド化

今年2月16日にテレビ番組の「カンブリア宮殿」でひふみ投信と最高投資責任者である藤野英人氏が紹介されて以来、ひふみ投信のマザーファンドの純資産が急激に伸びています。

2017年05月02日時点での純資産は、

ひふみ投信:53,514 百万円

ひふみプラス:152,037 百万円

ひふみ年金:1,916 百万円

となっており、合算すると2000億円越えとなりました。3月28日時点では、マザーファンドの残高は1800億円だったようですので、投資マネーが急激に流入している様子が伺えます。

参考「ひふみマザーファンド」の残高1800億円に  :日本経済新聞

日本株アクティブファンドが凡庸化する3000億円の壁

日本株専門のアクティブファンドが効果的に資産を運用できる上限として、3000億円の壁という概念があるようです。

参考| 運用のプロに聞く「ひふみプラス」 | 松井証券

過去に3,000億円以上の純資産残高を集めた日本株アクティブ投信は、その後にことごとく苦戦を強いられてきたのも確かです。増えたお金にこれまで同様の運用スタイルで真面目に対応しようとすると行き詰まってしまうかもしれません

ひふみ投信の運用成績の凡庸化を防ぐためには、国内の中小型株を中心に投資する現状のスタイルを改める必要があります。これまで掲げてきた投資方針を180度転換することには、懸念の声も上がっているようですが、これまで通りのやり方を続けていても待ち構えているのは緩慢な死だけです。

藤野氏は運用規模拡大によるパフォーマンス低下への対策として、3つの施策を考えているようです。

1.米国の大型株へ進出

以前、藤野氏は米国株へ進出することを匂わせるような発言をしたことがありますが、今回は米国の大型株へ投資を行うことを検討していると明言しています。

海外市場への投資も検討しているところです。なぜなら、米国市場と比べて日本の大型株が不甲斐ないからです。ラージキャップ(大型株)が成長しているからこそ、米国のインデックスは上昇を遂げています。TOPIXの推移が象徴する通り、その点で日本の大型株はかなり見劣りしています。日本の大型株の代替として米国の大型株を組み入れるだけでも成績に寄与していくと考えています。

中小型株の低い流動性では、巨大ファンドの資金を十分に効率的に運用することはできません。となると、投資先は大型株にシフトしてきますが、投資先に日本株ではなく米国株を選ぶことを考えているようです。

過去30年間の年率換算リターンでは、TOPIXが-0.4%、ダウ平均 (円)が+ 6.6%と歴然とした差が出ているようですから、藤野氏が日本の大型株ではなく、米国大型株を選好するのもわからない話ではありません。

出典『ダウ平均 (円) インデックス』 |インデックス詳細

2.ポストIPO(上場直後の企業)への投資

ポストIPO(上場直後の企業)への投資については、まだまだこれからも余地があるとして、藤野氏は投資意欲を見せています。具体的にどのような投資を行うつもりなのかは現段階では明らかではありませんが、非上場のスタートアップ企業への投資を行うというわけではないようです。

3.危機に陥った大企業が抱える有望事業の「再生」

今後の日本の大企業の中には、東芝のように成長が期待できる分野を持っていながら構造的な問題によって危機に陥る企業が増えてくるでしょう。有望な分野については「再生」を促すための資金提供もしていきたい。そちらにも目を向けていけば、たとえ1兆円の純資産残高を集めても資金が足りないほどです。

たわら男爵さんはこの発言を「東芝買い」と一言で要約しています。

参考「ひふみ」は、米国大型株、IPOセカンダリ投資、東芝買いへ – 40代でアーリーリタイアしたおっさんが   たわら先進国株でベンツを買うブログ

その一方で、優秀なひふみ投信ウォッチャーの一人である菟道りんたろうさんは、次のように分析しています。

現在、鴻海の傘下で進行中のシャープの再生のように、東芝も藤野氏の指揮下で、再生に挑戦すれば面白いことになりそうではありますが、今回は菟道さんの見立てに理がありそうです。

私の妄想ではこの場合、窮地に陥った大企業の有望事業をスピンオフなりスピンアウトして、独立した上場企業に仕立て上げ、数年後、経営基盤がある程度整った所で、株主優待を新設→優待族が殺到して株価が本源的価値より割高になった所で売り抜けというような手法が成り立つと思います。

しかし、こうした大企業の有望事業の「再生」は、2000-3000億円程度というひふみ投信の資産規模では実行は難しいでしょう。もし仮に、実現に挑むとしても第三者との協業スタイルを取らざるを得ないでしょう。

変革か死か

結局、ひふみ投信が今後どうなるか、はっきりしたことは現段階ではわかりませんが、運用責任者の藤野氏がひふみ投信の運用スタイルの変革に強い意欲を持っていることははっきりとしました

「ひふみに投資すれば儲かるんでしょ」とテレビ放映後に集まってきたイナゴマネーは、ひふみ投信が自らの強欲さを満足させる存在ではないことを知るやいなや、蜘蛛の子を散らすように逃げていくでしょう。

純資産増という逆風が吹き荒れるなか、ひふみが今後、優れたパフォーマンスを維持することができるのか、注目していきたいところです。もし、それに失敗するようであれば、「かつて、運用成績の優れたファンドとして勇名をはせた、ひふみ投信という美しいファンドがあったんじゃ」と、これから起きる?悲劇を若人たちに語り継ぐ生き証人になりたいと思います。

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