労働人口増加国家に投資する「iTrust新興国株式」のパフォーマンスが悲しいことになっていた

iTrust新興国株式 『愛称 : 働きざかり-労働人口増加国限定-』はピクテ投信投資顧問が運用するファンド・オブ・ファンズ方式のアクティブファンドです(設定日:2017年4月28日)。投資先のファンドでかかるコストを含めた信託報酬は税抜 1.125%程度となっています。

参考 投資信託説明書(交付目論見書)2018.1.27

「働きざかり」という愛称からわかる通り、このファンドでは中国や韓国、台湾、ロシアのような人口減少国は投資対象から外されています。そのため、今後、経済成長が減速していくと予想される国々へ投資したくないと考える投資家には販売開始当初、喝采をもって迎えられました。

設定来のパフォーマンスはやられてます

iTrust新興国の設定来のパフォーマンスをMSCI エマージング・マーケット・インデックス連動のSMT 新興国株式インデックス・オープンと比較したのが、下記のチャートになります。

iTrust新興国は+8.51%、SMT 新興国は+19.5%となり、10%以上、iTrust新興国がインデックスファンドに劣後してしまっている様子が見て取れます。働きざかり国家に投資するというファンドコンセプトは特徴的で見どころがあります。しかし、アクティブファンドは市場平均に打ち勝ってこそ価値を持ちますから、私はこれまでと同様、iTrust新興国に投資することはないでしょう。

ポートフォリオは特徴的だが、裏目に出た

月次レポートにより開示された2018年2月28日現在のポートフォリオを下に転載しました(上がiTrust新興国、下がSMT 新興国株式インデックス・オープン)。

業種別の構成比をみると、SMT 新興国で「ソフトウェア・サービス」(14.13%)、「テクノロジー・ハードウェアおよび機器」(7.78%)として計上されているハイテクセクターがiTrust新興国ではその他の業種として埋没していることがわかります。

昨年から今日までの相場ではハイテク銘柄が大きな躍進をみせました。インデックスでの構成比率が高い中国企業のテンセントやアリババは、ハイテク株のビックウェーブ相場の恩恵に浴した企業の一つです。iTrust新興国はハイテク銘柄をアンダーウエイトで保有していたのですから、インデックス投信に敗北するのは当然です。

人口増加国の株はお高め

労働人口増加国への集中投資という投資戦略に対するインデックスの優位がどこまで続くかはわかりません。しかし、インド、インドネシア、メキシコといい、人口増加国はその高成長性が株価に織り込まれているのか、バリュエーション的にはお高めです(下図では赤に近いほど高PER、青に近いほど低PER)。

参考 Stock Market Valuation (Shiller-CAPE, PE...)StarCapital AG

iTrust新興国のパフォーマンスを見るまでもなく、高PERの国々にあえて集中投資する必要性を私は感じません。どうしても、iTrust新興国に投資したいという場合であっても、ポートフォリオの一部分にとどめておくのが賢明なように思います。労働人口増加国は経済成長率が高まるという人口ボーナス理論が日本の個人投資家にすら、知れ渡った現状では、働きざかり国家への集中投資は何の優位性も生み出さないのですから。