ハイテク株投信の墜落:長老投資家が鳴らした警鐘は届かなかった

日本経済新聞によると、2018年の国内公募株式投信への資金流入のトップ10のうち、6本のファンドが電気自動車(EV)や次世代通信規格(5G)など、特定のテーマに沿って投資を行うテーマ型ファンドでした。

参考 18年はテーマ型投信に資金流入(投信ランキング) 日本経済新聞

今回は最も人気のあったハイテクファンドの成績を見ていきます。過熱感のあるハイテク株相場は、一段落しましたので、どのような光景が広がっているか、楽しみです。

モビリティ・イノベーション・ファンドとは

モビリティ・イノベーション・ファンドは、2018年の資金流入では、3位のひふみプラス(流入額2188億円)を上回り、1位(流入額2959億円)の座を手に入れた人気アクティブファンドです。

また、下記テーマの関連銘柄に投資しています。

  • ⾃動運転⾞
  • EV(電気⾃動⾞)
  • ⾞の IT 化
  • ⾞の共有(シェアリング)

ポートフォリオ

ファンドの具体的な投資先は下の画像のようになっています(2019年2月28日時点)。

自動運転や⾞の IT 化というワードに心をくすぐられた人がこのファンドに投資したのでしょうが、私としては何の魅力も感じない銘柄が並んでいます。

運用成績比較

モビリティ・イノベーション・ファンドは、全世界の自動車関連銘柄に投資するファンドですので、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込、円ベース)とトータルリターンを比較してみました。

結果は、モビリティ・イノベーション・ファンドが-10%以上、インデックスに劣後するという結果になりました。ファンドが設定されて以来、+になったのはほんの少しの期間しかありません。モビリティ・イノベーション・ファンドの背中は、私には哀愁に満ちているように見えます。

ハイテク投信への警鐘は当事者に届かなかった

テーマ型投信には、テーマが盛り上がってから後追いで設定されるという性質があります。個別株投資の世界では、急騰銘柄に手を出しても、大半の投資家は手痛い損失を出す結果になります。同様に、テーマ投信を利用して、株式市場でクローズアップされている銘柄群に後追い的に集中投資する手法は、大きな損失リスクをはらんでいます

相場の歴史的には、テーマ型投信はやがて墜落することが運命付けられているような存在です。そのことを熟知している長老投資家は、ブログやTwitterでハイテク系投信に対する警鐘を鳴らしてきました。しかし、その声が投資家の耳に届くことはありませんでした。

私の場合、ハイテク銘柄への警鐘をTwitterで鳴らすと、フォロワー数が減るという「忠言耳に逆らう」的な効果を実感することができました。しかし、ハイテク系テーマ投信への批判的なTweetをしても、出てくるのは賛同するような声ばかりでした。

私が鳴らした「ハイテク銘柄への警鐘」に対する反発の声はありましたが、ハイテク系テーマ投信の場合はそれがなかったのです。

今の時代、インターネットを駆使できるような層は、運用にかかる手数料の高いハイテク投信は避け、直接、個別銘柄に投資します。一方で、ネット社会から取り残された人は、店頭で担当者に言われるがままにテーマ投信を買います。

善意ある投資家たちがネット上で鳴らした「ハイテク投信への警鐘」は、残念なことに肝心のテーマ投信の買い手には届いていませんでした。テーマ投信のファンに呼び掛けているつもりが、その実、壁に話しかけているのと同じことをしていたというのは、物悲しいものです。

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