相場予想に基づいて、新興国の組入比率を引き下げた世界経済インデックスファンド。早速、フラグを回収。

2016年12月末に、GDP比率を参考に各資産の組入比率を決定するバランスファンド、世界経済インデックスファンドの組入比率の変更が行われました。新興国の組入比率が5%引き下げられる一方で、先進国(除く日本)の組入割合は5%増えました。

参考ポートフォリオの見直しについて(PDF)

ファンドレポートでは、新興国の組入比率を引き下げた理由として、次のような説明があります(太字、着色はわかま屋)。

米国大統領選挙で勝利したトランプ次期大統領が経済政策面では積極的な財政出動を示唆していることから、米国経済への成長期待が足もとで一段と高まっています。一方、金融政策面ではFRB(米連邦準備理事会)が12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で1年ぶりの利上げを決定するとともに、ECB(欧州中央銀行)が量的金融緩和策の実施期間を延長すると同時に資産の購入額の減額を決めるなど、緩和拡大から緩和縮小あるいは正常化の方向に軸足を緩やかに移しつつあります
こうした政治経済情勢や金融政策の変化を受けて先進国を中心に景況感に対する前向きな見方が徐々に現われている一方、新興国は長期的な成長性に対する評価に変わりはないものの、これまで世界的な緩和マネーに支えられ新興国に流れ込んでいた投資資金が、同地域の相対的な魅力度の低下とともに流出基調へと転じはじめており、今後もこうした投資動向が続くことで新興国通貨の下落リスクなどが高まることも想定されます。

ここでは、アメリカやEUの金融緩和が縮小され、正常化へ向かいつつある中で、金融緩和で新興国にジャブジャブと流れ込んでいた投資資金が先進国に逆流していくという相場予測が展開されています。

金融緩和が縮小→新興国株が下がるという俗論

金融緩和が縮小されていくと、新興国から投資資金が先進国に還流していく」というのは非常によく耳にする議論ですから、世界経済インデックスファンドの新興国比率縮小に、一片の理もないわけではありませんが、随分とアクティブ的な選択をしたものだと、このアナウンスがあった当時は思いました。

私が12月時点では、「新興国株式はそろそろ買い場」と考えていたのが、その証左です。

思い返してみれば、昨年の12月ごろはトランプ政権の誕生のためか、新興国株が下落基調にあった時期でもありました(新興国株式ETFのEEMは12月22日には底打ち)。ネット上では新興国株不要論が再燃するような動きも見られました。

投資ルールを破った世界経済インデックスファンド

一般に、上がる下がるの相場予測に基づいて、ポートフォリオを変更すると、投資上のパフォーマンスは下がるといわれています。一方で、投資におけるパフォーマンスを引き上げるのに有用なのは、どのような相場環境においても、投資を始める際に決定したルールを堅守することです。

世界経済インデックスファンドには、GDP比率を参考に各資産の組入比率を決定するというファンドのアイデンティティともいえる中核的なコンセプトがあります。なお、2016年のGDPの地域別構成比は、ファンドレポートによると以下の通りとなっています。

世界経済インデックスファンドは、新興国経済が不安定化するという予想に基づいて、新興国への投資比率を35%から30%に引き下げました。GDP比率をベースに組入比率を決定するという投資ルールは投げ捨てられたのです。

年初来の新興国株は好調!

衆論に影響されたためか、無節操にも投資ルールを放擲した、世界経済インデックスファンドは早くも「相場予測の罠」に絡め取られてしまったようです。

騰落率が表示されていないのが残念ですが、年初来のパフォーマンスは新興国株のETFのEEMが米国株ETFのVTIと日本除く先進国株ETFのTOKを凌駕しています。

この好調ぶりに後追いするように、新興国株に注目する海外投資家が増えているようです。

参考トランプ相場の主役交代 いらだつ海外勢、新興国株へ (写真=ロイター) :日本経済新聞

新興国株の過去1年のシャープレシオの日本株、欧州株に対する高さは注目に値します。新興国株の今後の動向は全くわかりませんが、新興国への投資はリスクばかり高くて、リターンは低いという最近浸透しつつある一般的なイメージは、少なくとも過去1年の期間では正鵠を射たものでないことがわかります。

先進国への投資比率を高めてしまった分、年初来の新興国株の上昇を取り損ねてしまった世界経済インデックスファンド。投資比率を元通りに戻してくるのか、それともこのまま運用を続行していくのか、今後の動向が注目されます。

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