暴落相場は勝者も敗者も変えてしまう戦争のようなものだ:水瀬ケンイチ『お金は寝かせて増やしなさい』を読んで

インデックス投資ブロガー界のカリスマである水瀬ケンイチさんが上梓した『お金は寝かせて増やしなさい』が多くの反響を呼んでいます。投資ブログ界での評判はポジティブなものばかりなので、私も買って読んでみました。

ちなみに、私は水瀬さんとはツイッターで下記のようなやり取りをする「友好関係」を築いていますので、不出来な本をお世辞でヨイショするインセンティブはありません。

大物ブロガーとしての力量を感じさせる著作

この本では初心者受けを意識して、むやみに内容を簡素化したりはしていません。初心者がリスクを理解して、インデックス投資の世界に足を踏み入れるために必要な記述は十分になされています。文章も平易で読みやすく、水瀬さんが人気ブロガーである理由を思い知らされます

水瀬さん固有の情報をもとに記述が進められている「第5章 涙と苦労のインデックス投資家15年実践記」以外は、インデックス投資本やインデックス投資ブログの熱心な読者であれば、どこかで一度は読んだことのある内容となっているように思います。しかし、私はこのインデックス投資実践記だけでも買う価値は十分にあったと思い、満足しています。

暴落相場は人を変えてしまう

2008年のリーマンショックでは、水瀬さんのブログに罵詈雑言のコメントが多く書き込まれました。それまでコメント欄で「インデックス投資万歳!」と友好的な姿勢を見せていた人でさえも、暴落相場で豹変し、別名義で「水瀬は死ね!」と中傷コメントをしてきたそうです(IPアドレスで同一人物と判明)。

株式に投資して暴落相場で損失を被るのは当然のことです。暴落ダメージを自分の内部で処理できずに他人に転嫁するような人間は、長期投資の世界で大成できる資質はありません。その後の世界経済の急回復を目の当たりにして、暴落相場で狼狽売りした豹変派の投資家は、ほぞをかむ思いをしたことでしょう。

勝者にもダメージを与える暴落相場

暴落相場でダメージを負ったのは豹変派の投資家だけではありません。水瀬さんは暴落相場でそれまで仲良くしていた人にすら、180度の手のひら返しを食らったのですから、その精神的な影響は無視できません。

以前、ツイッターで水瀬さんから暴落相場で豹変しそうな投資家のリストを非公開で作成している旨の発言がありました(現在は削除済みで確認できません)。この非公開リストの利用目的は定かではありません―暴落相場で、ビールのつまみにするつもりなのか、人間心理を観察するつもりなのか―。

兵士が戦場で強いショックを受けることで、終戦後、全く別人のようになって国に戻ってきたという話は、比較的ありふれていますが、暴落相場も似たようなものかもしれません。暴落相場では、濃密な投資コミュニティのなかで複雑に人間心理が絡み合うことで、疑心暗鬼や人間不信が増幅されてしまいます

今はただ、人気ブロガーのコメント欄に元愛読者からの罵詈雑言のコメントが殺到する悲劇が繰り返されないことを祈るばかりです。

おわりに

本記事では『お金は寝かせて増やしなさい』の内容にはあまり言及しませんでしたが、時間があるのであれば、読む価値のある本であることは確かです。水瀬ケンイチさんのブロガーとしての集大成的な著作、あなたも読んでみてはいかがでしょうか。

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