円高進行を後追いするように増える為替ヘッジ投信と為替ヘッジ派投資家

DIAMアセットマネジメントが、たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>(信託報酬 0.225%)とたわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>(信託報酬 0.200%)を10月3日に設定するようです。

投信ブログ界の反応を見てみると、為替ヘッジものとしては異例ともいえる低コストぶりに歓迎する声が多数です。

私もインデックスファンドの低コスト化には全面的に賛同する立場ですから、たわらの為替ヘッジ投信参入は肯定的に評価したいと思います。

為替ヘッジコストを支払って、リターンをある程度手放してでも、為替リスクを避けたい投資家にとっては為替ヘッジ投信は必須のものですからね。

円高が進んでヘッジ投信の需要が増えているように思える

しかし、ここ最近の米ドル・円相場の円高進行傾向に狼狽して、運用を為替ヘッジ付き投信へシフトしようとしているのなら、今一度立ち止まって考えてみる必要があるでしょう。

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参考 主要通貨購買力平価(PPP)|公益財団法人 国際通貨研究所

上に転載しているのは、1973年以降のドル円の購買力平価のグラフです。

見ていただくと、おおむね緑色の企業物価ベースの購買力平価(PPP)を中心軸とするように為替レートが変動してきたことがわかると思います。

仮に、ドル円のフェアバリューが企業物価PPPである1ドル97.3円の前後の地点にあるとして、9月16日時点でのレートは102.2円ですから、今になって為替ヘッジをかけ始める意味は薄くなっているといえるでしょう(少なくとも1ドル110円台や120円台の時期よりは)。

「ドル円相場が90円台、80円台にこれから突入するから、為替ヘッジをかけるのだ」と反論する人もいるかもしれませんが、1ドル120円台の時点で為替ヘッジをかけていない時点で、その投資家の相場読み能力は疑わしいものといわざるをえません。

私が肌感覚で感じているにすぎませんが、為替ヘッジ付き投信の新規投入数は1ドル120円の時代より増えているように思えます。

また、インターネット上での注目度も円高進行と軌を一にするように高まっていると感じられます。

米ドル円のヘッジコストが増加中

私は、一定のリターンを放棄して為替リスクから逃れる為替ヘッジ投信の存在意義を否定するつもりはありません。

しかし、相場読みの一環として今更、為替ヘッジを導入しようとするのはまったくもってばかげたことです。

なぜなら、米ドル円の為替ヘッジコストが1.7%と高騰しているからです。

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参考 PIMCOジャパン・ベターインカム・ファンド 月報

直近の日本の10年債の利回りは-0.05%、米国10年債の利回りは1.69%です。

為替ヘッジをかけて、米国10年債に投資したとすると、1.69%あった利回りも無に帰します(最新のヘッジコストが不明なので、正確な推定ではありませんが)。

日本人である我々にとって、日本国債に投資するより、米国国債に投資した場合の方が、投資に際してのコストは高くつきますから、期待収益は日本国債>米国国債となります。

今回、ヘッジコストが急騰している背景には、日本国債の利回りマイナス化による金融機関のヘッジ外債運用の拡大があるともみられていますが、あっという間に「為替ヘッジというフリーランチ」が食べつくされてしまいましたね。

おわりに

ヘッジコストの分だけ、期待リターンは毀損されます。

米ドル円のヘッジコストが1.7%もあるとすれば、投資家の収益にとっては大きなダメージです(株式投資の実質リターンは5%程度しかない)。

為替相場は複雑怪奇ですが、それ以上に動向を読みにくいのが、ヘッジコストの変動です。

私としては、為替相場の下手な予測は放棄して、為替リスクによる上下動を素肌で受け止める長期投資を今後も実行していきたいと思います。

私に限らず、リターン重視派の投資家は為替ヘッジをかけずに、為替変動の影響をダイレクトに受けていくとしましょう。

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