積立NISAはイラNISA(ナイサ)になってしまうかも

積立NISAの制度の概要がおぼろげながらも見えてきました。現行のNISA制度は、新設される積立NISA制度に一本化されるという話もあるようですが、対象商品の少なさを見るに、私にとっては積立NISAはイラNISA(ナイサ)になってしまいそうです。

参考NISA一本化を検討 積立型と現行型、与党大綱案  :日本経済新聞

対象の投資信託は約50本

金融庁作成の資料によると、公募株式投信5406本のうち、積立NISAの対象商品として課される厳しいハードルをクリアした投信は1%以下の約50本しかなかったようです。

出典平成29年3月30日 金融庁 説明資料(PDF)

アクティブ投信では、5年以上存続、純資産50億円以上という条件が課されていますから、最近出始めた運用会社の骨のある低コストアクティブ投信は全滅してしまいます……

REITやハイイールド債に投資する投資信託が排除されていることからわかるように、インデックス連動といえど、市場全体に広範に投資しないものは排除されるようです。市場平均を超える収益を出すのではないかと投信マニアの注目を集める「EXE-i グローバル中小型株式ファンド」や「SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン」、4月5日に上場する中小型ETFの「MAXIS JPX 日経中小型株指数上場投信」も残念ながら対象外となってしまいます。

ETFには、最小売買単位が1000円以下という条件もあるようですが、この条件をクリアしている国内・海外ETFはほとんどありません。「毎月一定額の積立」という部分にこだわると、最小売買単位が1000円以下という厳しい要求が出てくるのでしょう。

しかし、ここはもう少し柔軟に、1年という期間である程度の資金投入(積立)を行うというように考えていただきたいものです。株式市場への資金投入の頻度は、毎月だろうが、隔月だろうが、四半期に一回だろうが、長期的に見れば大差はないでしょう。

大事なのは、積立そのものを行うことではなく、株式市場に資金を投じて、企業群の長期的な収益拡大と歩調を合わせるように資産を形成することです。国内ETFには最小売買単位が高くて手が出しにくいものもありますから、1万円程度のラインに最小売買単位の条件を設定しておくことは賛成できますが、今の条件のままだと明らかな「ETF外し」としかみることができません。

信託報酬の条件

国内資産のみに投資するインデックス投信 0.50%
海外資産を組み入れているインデックス投信 0.75%
国内資産のみに投資するアクティブ運用投信 1.00%
海外資産を組み入れているアクティブ運用投信 1.50%

出典「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関する ワーキング・グループ」報告書 (PDF)

海外資産を組み入れているアクティブ投信に対して、1.5%の信託報酬を許容しているのは、甘すぎるような気もしますが、多くのぼったくり投信は販売手数料無料という条件で弾かれてしまうでしょうから、この点はそこまで問題にはならないでしょう。

護送船団方式の積立NISAに懸念が募る

積立NISAの制度設計には、個人投資家をインデックス投資に誘導しようとする金融庁の思惑が透けて見えます。しかし、こうした護送船団方式では相場の暴落時に、投信投資家が怒鳴り込みに行く先が銀行や証券会社の販売窓口から、積立NISA適格のお墨付きを投信に与えた金融庁に変わるだけでしょう。

インデックス投資は投資理論上はベストな投資法といってよいでしょうが、豊かな実りをもたらすのは長期的な保有を続けた場合だけです。TOPIXへの投資であれ、MSCIコクサイへの投資であれ、暴落時に底値付近で狼狽売りをするようでは、生み出されるのは損失だけです。無知な投資家は積立NISAという保護的な枠組みの中でも守ることができません(ぼったくり毎月分配投信からは保護されますが)。

完全なほったらかし投資を実践することのできる人にとっては積立NISAは素晴らしいツールとなるでしょうが、投資へのマイナスイメージが吹聴される暴落時に自分の投資資産をほったらかしにできる鋼鉄の心臓を持った人はそう多くはありません。

金融庁がなすべきは対象銘柄の精選ではなく、全世代に対する投資教育の推進です。対象銘柄を限定しても、投資家を100%保護するできるわけではありませんから、当ブログとしては、各人各様の「いい投資」ニーズに応える非課税制度として、積立NISAの対象商品の拡充を希望します。

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