マイナス金利はデフレ脱却を加速させない

マイナス金利の一部導入

1月29日の金融政策決定会合で、日銀当座預金の付利に一部マイナス金利を導入する決定が下されました。
「現時点でマイナス金利を具体的に考えているということはない」(1月21日、参院決算委員会)と説明していたはずの黒田総裁の突然のサプライズに、株式市場と為替市場は乱高下しました。


また、金融政策決定会合の議論が終わる前に、日本経済新聞がマイナス金利を速報するという珍事もあったようです。
正式発表の前に情報が漏えいしてしまうのは、よろしくありませんね。


日銀には日経新聞の記者と「対話」を深める前に、市場と対話していただきたいと思います。
さもなければ、日経新聞には特大ブーメランが帰ってきてしまいます。

マイナス金利を導入した目的

今回、マイナス金利が導入された理由は、日銀の国債買い取りで銀行にマネーが供給されても、市場に流れなかったからです。
2013年の黒田日銀発足以来、銀行が国債と引き換えに得た日本円は、0.1%の付利がある日銀当座預金で目詰まりを起こしていました。


マイナス金利を導入して、これから新しく日銀当座預金に積み上げられるお金に-0.1%の金利を要求すれば、銀行が日銀当座預金で資産を無リスク運用するインセンティブは弱まります

銀行の貸出は増えないと予想

銀行の貸出が増えてこなかった理由として、

  1. 人口減少による経済縮小を見越した投資意欲の衰え
  2. 大企業の自己資本は高まっているので、銀行に借りる必要性が低下
  3. 不良債権化のリスクを嫌って、信用度の低い中小零細企業には貸さない

だいたいこのようなことが考えられるかと思います。
新しく日銀当座預金に積み上げられるお金に-0.1%の金利がかかるとしても、「信用度の高い借り手の資金需要が少ない&ハイリスクな借り手には銀行は貸さない」という構図が崩れるわけではないので、銀行の貸出は日銀が期待するほど増えることはないでしょう。

インフレ目標2%の達成は困難

デフレの国・日本における「マイナス金利政策」の盲点=三橋貴明 | マネーボイス

民間の資金需要がないデフレ期には、金融政策をどれだけ拡大しても、銀行から企業、家計への貸し出しは増えない。結果、モノやサービスが買われず、物価は上昇しない

アベノミクスは、金融政策と財政政策、成長戦略という3本の矢がお互いを補強しあうのが理想でした。
残念ながら3本の矢は、金融政策だけで支えられているのが現状です。
金融政策という矢が折れたら、他の2本の矢も同時に折れてしまうでしょう。
今後は、金融政策頼みのアベノミクスの限界が意識される展開になってきそうです。
催促相場は、ほとぼりが冷めたころにまた繰り返されるでしょう。
日銀がその催促に応えきれなくなったとき、アベノミクスの終局的敗北が明らかになることでしょう。

安倍政権はどうすべきだったのか

個人的には、安倍政権には、安保法制にかける政治的エネルギーを反対の声が多い定住型移民の導入に割いて欲しかったですね。
日本はGDPの1%を防衛予算に割いていますから、経済成長こそが最大の防衛政策といえます。
今も昔も、経済力がその国の軍事力を規定すると考えて大きな間違いはないでしょう。
日本の潜在成長率を引き下げる最大の要因となっているのが、生産年齢人口(15~64歳)の減少です。
移民反対派が、一日でも早くこの現実に気付くことを願ってやみません。

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