不人気な賃上げETFは、日銀買い効果を期待できないポンカスETF

日銀は今年4月から、失速するアベノミクスの後押しをするため、設備投資や人材投資に積極的な企業を組み入れたETFを最大で年3000億円買い入れるとしています。

ただし、日銀が買い入れることができるのは各ETFの純資産総額の半分までと定められています。

設備・人材投資は企業業績の遅行指標

設備投資や賃上げに前向きな企業に投資しても、投資家が得るリターンが向上するかは未知数です。

企業の業績が良くならなければ、経営陣は設備・人材投資には踏み切れませんから、賃上げETFに組み込まれる企業にはすでに業績の良い企業の割合が高くなるはずです。

業績の良さは株価にはすでに織り込まれていますから、今から投資しても市場平均をアウトパフォームする効果は望み薄です。

非時価総額型のETFに投資するなら、市場平均のパフォーマンスを超えられるような何かしらのエッジ(高配当・小型・バリューなど)を期待したいところですが、このETF群には日銀買いという不確かなエッジしかありません

日興の「日本経済貢献株」って凄いネーミングですね。さすがにちょっと引きます。

引用 日銀が積極購入を表明した新ETFは「確実な儲け話」か? | ひとり配当金生活

アベノミクスに援護射撃をする目的で設計された賃上げETFの商品構造が独特の気持ち悪さを醸し出して、投資家から避けられる不人気ETFとなっています。

純資産総額が寂しいことになっている

ETF名証券コード純資産総額
ダイワ上場投信-MSCI日本株人材設備投資指数1479305億円
NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信148040億円
上場インデックスファンド日本経済貢献株148127億円

上記の純資産総額は、2016年6月3日時点のものです。

年間3000億円の買い入れ枠が設定されていますが、実際に買い入れできるのは純資産総額の半分までに制限されています。

現在のところ、各ETFの純資産の合計は372億円ほどになりますから、日銀が買い入れ可能なのは186億円という何ともお寒い少額にとどまります。

3000億円の枠を使い切るには毎月のペースに換算すると、月に250億円買い入れしなければなりませんが、この調子だと買い入れ枠の使い切りはできないようです。

おわりに

時価総額では先行するダイワ人材ETFの組み入れ上位銘柄を見ると、トヨタ自動車 <7203> 、ソフトバンクグループ <9984> 、セブン&アイ・ホールディングス <3382> 、花王 <4452> 、アステラス製薬 <4503> ……といった具合。

TOPIXとのパフォーマンス差が大きくなりそうな顔ぶれではなく、こうした銘柄に着目して数あるETFの中からあえて選ぶ投資家がどの程度いるものか疑問だ(組み入れ上位に、そーせいグループ <4565> 、CYBERDYNE <7779> といった投資家のハートに響くアクセントになるような銘柄が入っていたなら別だったが……)。

引用株式相場の雑記帳 | 上場直後なのに早くも人気離散?日銀お墨付きの「賃上げETF」 | 会社四季報オンライン

賃上げETFの純資産が伸び悩んでいる理由として、そもそも日本のETF市場が薄商い体質であることや上に引用したような面白味のない銘柄が構成上位に選ばれていることがあげられるでしょう。

私はそーせいやCYBERDYNEに投資したいとは全く思いませんが、特定のテーマの関連企業に投資する低コストETFは組成する余地があると思います。

テーマ型の投資信託が設定されると、必ずといっていいほどぼったくりレベルの高コスト商品になるのですから、あきれ返ります。

話がそれましたが、日銀の力強い買い効果が期待できない奇形の国策ETFである賃上げETFに投資する意味は、全くないと考えてよいでしょう。

6月10日には「iシェアーズ JPX/S&P 設備・人材投資ETF」と「DIAM ETF JPX/S&P 設備・人材投資指数」が上場します。

両方とも、JPX/S&P 設備・人材投資指数に連動するETFであるため、2つも同じ指数に連動するETFを出すセンスはいかがなものでしょうか。

当ブログでは、賃上げETF関連の動向はこれからも定期的にウォッチしていきます。

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