賃上げETFの不人気ぶりで日銀買い入れの限界が見えてきた

人材・設備投資に積極的な企業を投資対象とするETF、通称「賃上げETF」が現在6つ上場しています。

日銀はこのETFを最大で、毎年3000億円買い入れる方針です。

しかし、買い入れることができるのは賃上げETFの残高の半分までと決まっています。

賃上げや設備投資は企業の業績の遅行指標といえます。

好業績でもない限り、人口減少のこの時代に企業は賃上げや設備投資を積極的に行おうとはしないでしょう。

多くの個人投資家は、賃上げETFに含まれる企業群は好業績がすでに株価に織り込まれいて、今から投資すると高値掴みするリスクがあると懸念しているようです。

その結果、ETFの売買に盛り上がりを欠く結果になっています。

14営業日連続で売買が成立しないETFも

日本のETF市場は全体的に流動性がないとよく指摘されます。

その中でも、DIAMアセットマネジメントの「DIAM ETF JPX/ S&P 設備・人材投資指数(1484)」の不人気ぶりは際立っています。

日本経済新聞によると、7月15日まで14営業日連続で通常取引時間の売買が成立しなかったとのことです。

参考 「賃上げETF」売買広がらず 買い手は日銀のみ  :日本経済新聞

考えられる原因

DIAM(純資産総額 459.7億円)の賃上げETFは「JPX/S&P 設備・人材投資指数」に連動しています。

また、日興アセット(39.2億円)とブラックロック(49.5億円)のETFも「JPX/S&P 設備・人材投資指数」に連動しています

ただでさえ、投資家に不評な設備・人材投資ETFというカテゴリーで、同じ指数に連動するETFが3つも乱立しているのですから、投資家の資金が分散してまともに取引が成立しない惨状となるのも当然といえるでしょう。

DIAMの純資産総額は他の2つと比較して、意外と大きいですが、短期売買に使えないどころか長期投資用としても不安の残る薄商いぶりですね。

 明らかに3000億円の枠を使い切れそうにない

以下は、各社のサイトを回って賃上げETFの純資産総額をまとめた表です。

名称管理会社純資産総額
ダイワ上場投信-MSCI日本株人材設備投資指数大和証券投資信託委託377.3億円
NEXT FUNDS 野村企業価値分配指数連動型上場投信野村アセットマネジメント70億円
上場インデックスファンド日本経済貢献株日興アセットマネジメント39.2億円
iシェアーズ JPX/S&P 設備・人材投資 ETFブラックロック・ジャパン49.5億円
DIAM ETF JPX/ S&P 設備・人材投資指数DIAMアセットマネジメント459.7億円
MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信三菱UFJ国際投信20.9億円

日銀が買い入れることができるのは賃上げETFの残高の半分までです。

用意された3000億円の枠を使い切るには、純資産総額が合計で6000億円必要になる計算ですが、現在の残高は6つのETFを合算しても1000億円程度にとどまっています。

「日銀買い」を期待して賃上げETFに投資した人にとっては不幸なことに、日銀が買い入れることができるのは最大で500億円となります。

日本経済新聞によると、「すでに日銀保有比率が3割を超えたETFもある」とのことですから、賃上げETFの先行きには暗雲が垂れ込めている……というより、賃上げETFの先行きは暗雲そのものといってよいでしょう。

当ブログ管理人としては、国策ETFには投資せず、遠巻きに観察するスタンスを今後も継続していこうと思います。

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