海外ETF運用の「静かなコスト革命」

SBI証券は、日本発の米国株式・米国ETFの貸株サービスを9月26日から開始します。

注目されるのは、貸株を行うことで運用コストがマイナスになるETFが存在していることです。

日本人に大人気の全世界株式ETF、VTは経費率0.14%ですが、貸株金利は0.30%となっており、貸株を行えば-0.16%で運用を行うことができます

差引き年率0.16%もの差益が出る勘定でして、3年程度長期保有してしまえば買付時の手数料(0.45%)を取り返すことができます。

参考海舟の中で資産設計を ver2.0 期待通り、一挙にマイナスコストでの運用に舵を切れそう

SBI証券でのアメリカ株の売買手数料は、約定代金の0.45%(最低5ドル、最高20ドル)に引き下げられていますから、たった3年保有するだけで、買い付けコストを取り戻すことができます

安房さんが指摘されているように、貸株金利は将来的に変動するでしょうから、これは皮算用の域を出ない「期待」でしかありません。

しかし、本来リターンを食いつぶす存在であるコストがマイナス化してくれれば、これほど心強いものはありません。

ETFのパフォーマンスは、コストに相当する分はインデックスに必ず劣後するものでしたが、貸株金利も含めたトータルコストがマイナスになれば、逆にパフォーマンスを引き上げる要因として働いてきます

投資信託に付与されるSBIや楽天のポイントサービスでは、こうしたトータルコストのマイナス化は望むべくもないものでしたから、インパクト感は大きいものがあります。

米国ETFのマイナスコスト化のインパクトは大きい

アメリカ株の売買手数料の引き下げと貸株サービスの導入は同時期に発表されました。

私は、売買手数料の引き下げに注目する一方で、貸株サービスにはあまり関心を寄せていませんでしたが、長期保有を基本スタンスとする投資家にとっては貸株の方がインパクトが大きいかもしれません。

VTの例でいえば、6年間保有すれば買付時と売却時のコストは無視できるわけですから、6年間以上保有する投資家であれば、VTの<購入・換金手数料なし>化が実現できるわけです(将来的な貸株金利の変動が読めないのでこれは現時点での試算でしかありませんが…)。

特定口座でも米国ETFの時代に?

NISA口座では、米国ETFの貸株サービスを利用することはできませんが、最大120万円まで買付手数料無料サービスを享受することができます。

一方、特定口座では買付手数料無料サービスを利用することはできませんが、貸株金利を受け取ることができます。

NISA枠の買付手数料無料サービスの開始以来、そのサービスを使って米国ETFに小口投資する投資家が私を含め、少なからず存在していると思います。

これからは、手数料引き下げと貸株サービスとの相乗効果が発揮されて、特定口座での米国ETF投資にも妙味が増してくる時代になりそうです。

NISA枠を埋めて特定口座にまで進出する120万円以上の新規投入資金を用意できる人は、少ないと思いますが(私には難しい)、こうしたサービスが拡充されていくことで損をするわけではありませんから、大歓迎したいと思います。

貸株金利と皮算用コスト一覧

一部ですが、個人的に注目したいETFの経費率、貸株金利と経費率から貸株金利を差し引いた「皮算用コスト」を一覧化しました。

銘柄名経費率貸株金利皮算用コスト
iシェアーズ NASDAQ バイオテック ETF0.47%0.30%0.17%
iシェアーズ 米国優先株式 ETF0.47%0.30%0.17%
ヴァンエック ベクトル 中小型金鉱株ETF0.55%0.10%0.45%
ヴァンエック ベクトル 石炭 ETF0.59%0.30%0.29%
iシェアーズ MSCI エマージング小型株 ETF0.69%0.30%0.39%
バンガード 米国生活必需品セクター ETF0.10%0.30%-0.20%
バンガード 米国ヘルスケア セクター ETF0.09%0.30%-0.21%
バンガード 米国エネルギーセクター ETF0.10%0.20%-0.10%
バンガード 米国増配株式ETF0.09%0.30%-0.21%
iシェアーズ MSCI パシフィック(exJP) ETF0.49%0.30%0.19%

とりわけ、異彩を放っているのは、マイナスコスト化したバンガードの超低コストETFです。

-0.2%程度のコストで運用できる場合もあるのですから、私としては特定口座でETFに手を出す機会があれば積極的に貸株を利用していきたいと思います。

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