高配当派と自社株買い派の争いを収束させる日本株ETF:NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(2529)

高配当株に投資して得た配当金をひたすら再投資に回して、市場平均を上回るリターンを手にしようとするのが高配当株投資家です。

その一方、配当を出されると、配当に対する課税が発生するため、投資効率が悪化すると主張し、株主還元は配当ではなく、自社株買いで行うよう求めるのが自社株買い派の投資家です。

私の理解では、自社株買いはボーナスのような位置づけとなります。好景気局面では自社株買い金額は増大しますが、ひとたび不景気になると遠慮なく引き下げられます

他方で、配当は基本給のような位置づけです。好景気局面では、配当金額は引き上げられますが、その伸び率は自社株買いほどではありません。不況期になると配当金額は引き下げられますが、自社株買いほど大幅に引き下げられることはありません

株主還元を縮小したときに経営陣が株主から非難される度合いは、「配当を減らしたとき>自社株買いを止めたとき」となっています。配当を減らすのは躊躇する経営陣でも、自社株買いを縮小するのはさほどためらわないのです。

昨今では、好況の持続に伴って規模が拡大した自社株買いを信奉する投資家勢力の伸張が著しいものがあります。高配当株派は市場平均への劣後が続いて、息も絶え絶えの状態です。

現在のような好況時に適合した投資手法は自社株買い企業に投資することかもしれませんが、不況時に優れたリターンを出すのは高配当株投資です。

知名度こそありませんが、自社株買いの攻撃力と高配当の防御力を折衷した日本株ETFが野村アセットマネジメントより出ています。その名は「NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投信(2529)愛称:株主還元70ETF」です。

野村株主還元70ETFとは?

以下の情報は主に公式ページからの情報となります。

対象指標:野村株主還元70

対象指標の概要:野村株主還元70は、わが国の金融商品取引所に上場する普通株式のうち、金融・保険業(東証33業種分類の「銀行業」、「証券、商品先物取引業」、「保険業」、「その他金融業」を指します。)を除く銘柄の中から、配当、自社株買い等の株主還元を積極的に行なっている70銘柄を選定して構成銘柄とする株価指数です。指数の詳細は野村證券金融工学研究センターのサイトをご参照ください。

信託報酬率(税抜):0.28%

純資産総額(2019年8月9日):5.4億円

売買代金(2019年8月9日):8.3万円

分配金支払い基準日:毎年1月7日、4月7日、7月7日、10月7日(年4回)

上場日:2019年4月19日

野村株主還元70ETFは負の株主還元を回避する


参考 NEXT FUNDS 野村株主還元70連動型上場投資信託(2529)| New Product | NEXT FUNDS

株主還元70ETFでは、投資対象が高配当で自社株買いを実施している企業に限られます。一株あたりの価値を希薄化させる増資を実行する企業は、投資対象から外されます。株主を使いやすい財布として扱う企業に投資すべきなのか、それとも収益を還元する企業に投資すべきなのか、その答えは明らかです。

野村株主還元70ETFはマーケットメイクの対象ETF

株主還元70ETFは「売買代金が10万円以下だから心配」とお考えの方も少なくないはずです。しかし、本ETFはマーケットメイクの対象となっているので、純資産からすると明らかに不自然な規模の買い注文と売り注文が常に出されている状態です。

これだけの規模で機関投資家が働いていてくれていますので、一般の個人投資家が通常の取引をする分には何の問題もないでしょう。

日本株全般より割安だが、高配当株より割高

株主還元70ETFの連動インデックスである株主還元70は、日本株全般のインデックスであるRussell/Nomura Total Market インデックスより割安、高配当株インデックスである野村日本株高配当70より割高となっています。

リスク・リターンを見ると、最もシャープレシオ(リターン/標準偏差)で優れており、指数の出来栄えの良さを感じさせます。ただ、過去のデータをもとにインデックスを作成しているわけですから、リターンでよい値が出るのは当然のことです。

それでもなお、私が株主還元70ETFに抱く期待の熱は冷めません。

野村株主還元70ETFで株主還元ビッグウェーブに乗ろう

過去に消費税が増税されたとき、増収分の大半は法人税、所得税の減税に使われました。拡大した企業収益は、需要が停滞している日本国内ではなく、日本国外での再投資に使われています。それでも余っているお金が配当や自社株買いといった株主還元へと回されています。それが、かつてない規模の株主還元ビッグウェーブを生み出しました。

消費税が10%になると、貧困層では月給の1ヶ月分が消費税として徴収されるともいわれています。お金に余裕のある人であれば、消費税として吸い上げられたお金を回収する手段として、株主還元型企業に集中投資する株主還元70ETFに投資するのが有力な手立てとなるでしょう。

では、投資に関する知識もなければ、余裕資金もない人はどうすればよいのでしょうか。私は、その答えを見出すことができません。彼らの鬱屈したマグマは次の不況期での爆発へ向けて、水面下でたまり続けることでしょう。