一つの時代が終わった:rennyさんが「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の運営委員長から勇退

2月16日に一つの時代の終わりを感じさせる出来事がありました。「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の運営委員長であるrennyさんがその座から退いたのです。

参考 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」運営委員長交代のお知らせ投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018

rennyさんは、このアワードの発案者です。また、運営委員長として、投信界で注目を集める地位にまで投信ブロガー版FOYを押し上げました。

投信ブロガー版FOYが創設される以前より、投資信託を表彰する(悪しき投信界の理論が見え隠れする)既存のアワードはありました。そこに、彼は「個人投資家が自分の好きな投信を選ぶ」という新しい視点をもたらしました。

ぬるま湯につかりきっていた金融業界に風穴を開けた、その功績は計り知れないものがあります。また、私がブログを始めることもなかったでしょう。私は投信ブロガー版FOYに投票する目的でブログを開設したのですから。

万雷の拍手をもって、rennyさんの勇退を見送りたいと思います。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の変質

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の公式ホームページ上に掲載されたrennyさんの退任の辞には、こうあります。

では、私が委員会からの卒業を決断した理由をご説明します。 アクティブファンドの変革に、より多くの時間を使いたいと考えたからです。

実は、前回の投票結果を確認した時から考え始めていました。インデックスファンドが圧倒的優勢となる結果に、モヤモヤした気持ちが芽生えたのです。そして、今回、トップ10全てをインデックス運用のファンドが占めました。

昨今、インデックスファンドの低コスト化が進んだ影響で、アクティブファンドとのコスト差が顕著になりました。そのためか、投信ブロガー版FOYではインデックス投信が飛躍して、その影にアクティブ投信が埋没するというのが基本的な構図となっています。

低コスト教の教えを内面化して、疑うことすらしない人が投信ブロガーには多く見受けられます。これまで、インデックス投信の低コスト化と軌を一にするように、低コスト教の一派は拡大してきました。投信ブロガー版FOYトップ10からのアクティブ投信の陥落は、その集大成的な事象にすぎません

投信ブロガー版FOYは教養ある市民の手から離れた

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」は、自分が好きなファンド、応援したいファンドに投票するというのが原点にあると思います。しかし、今日では「チームニッセイ」、「スリム帝国軍」という言葉に象徴されるように、自分が保有するファンドに対してポジショントーク的に投票する動きが顕著になってきました。

投信ブロガー版FOYでの上位入賞を機にファンドの運用資産が増えれば、運用コストのさらなる引き下げ余地が生まれてくるかもしれません。

ニッセイを保有しているのであれば、ニッセイに全力投票、eMAXIS Slimを保有しているのであれば、eMAXIS Slimに全力投票するのが、合理的経済人としては、正しい選択だと思います。これまでの記録上では、パフォーマンスは「インデックス投信>>>アクティブ投信」という結果なのですから、それはなおさらです。

翻って、アクティブ投信は趣味的な趣が強くなってきました。教養ある投資信託マニアは分析しがいのあるアクティブ投信に好んで投資し、投信を分析する能力のない大衆投資家(投信マニアもなかにはいますが……)はインデックス投信に引き寄せられていく。そういった構図がいまあるとみています。

おわりに

rennyさんが「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」の運営委員長の座を降りる決心をしたのは、その鋭敏な嗅覚で一つの時代の終わりを感じ取ったからに他ならないと思います。

投信界の歴史は、これからはマニアではなく、大衆によって刻まれていく。何人にも押し返すことのできない、大きな歴史のうねりの前に我々は直面しているのです。

最後になりましたが、rennyさんはアクティブファンドの進化のために活動を継続されるとのことです。今後、ますますのご健勝、ご多幸を祈念いたしまして、筆をおきたいと思います。