「低コストインデックスファンドが高コストアクティブファンドから赤字を補填している」って本当なの?

運用会社は、低コストインデックスファンドでの赤字を高コストアクティブファンドで補填しているので、純資産増に比例しない形でのインデックスファンドの過度な低コスト化はいかがなものかと主張する声が最近聞こえてきます。

私も、低コスト化は本来なら、バンガード社のETFのようにファンドの預かり資産の拡大に応じて、漸進的に進めていくものだと考えているので、急激な低コスト化に懸念を表するのは理解できます。

しかし、「運用会社が低コストインデックスファンドでの赤字を高コストアクティブファンドで補填している」といった類の主張を裏付けるデータは一度も見たことがありません。今回、改めてインターネット上で調べてみましたが、やはり、具体的な数字を伴った情報はヒットしてきませんでした

書籍や論文など、紙媒体で紹介されているのかもしれないとも考えましたが、そうだとすると、目ざといインデックス投資ブロガーが記事にしないのもおかしな話です。「インデックス投信赤字補填論」は根拠のある主張というよりは、印象論や個人的な感想という認識で接しておいた方が懸命だと思います。

「インデックス投信赤字補填論」は全くの偽りにあらず

ここで重要なのは、この議論は根拠はないにせよ、全くのデタラメではないという点です。インデックス投資ブロガーの水瀬ケンイチ氏は、次のように述べています(太字部分はわかま屋)。

インデックスファンドはただでさえ信託報酬が低く利幅が少ないのに、日本ではまだ市場規模も小さい(リテール向けは)ため、運用会社としてはまだ赤字事業であると思われます(年金など機関投資家向けは別)。
その赤字を、他のアクティブファンドの利益や機関投資家向け投資顧問料などから補填しているというのが実態ではないでしょうか
個人のインデックス投資家としては、高いコストを支払うアクティブ投資家や大規模な投資家に支えられて、低コストな運用を享受しているという面があるのです。

出典「狂信的なインデックス主義者」と言われないための3つのポイント – 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)

さすがに、大御所ブロガーともなると、具体的な根拠を示すことができない部分には、「思われます」、「ではないでしょうか」と慎重に議論を進めています。

私は、インデックスファンド事業は、マザーファンドベースでは黒字だと考えていますが、個々のファンドのレベルでは純資産が低く、赤字状態に陥っているファンドも多々あると想像しています。日本経済新聞によると、投信を運営する上での「採算ライン」は50億円ですから、純資産が50億円を下回る水準のインデックスファンドがどれだけあるか考えると、暗澹たる気持ちになります。

参考投信、魅力向上へ併合促す 協会が指針公表へ  :日本経済新聞

純資産が低迷して、人知れず繰上償還されていくアクティブファンド(そして、その存在は忘却される)も多いですから、赤字を他のファンドや事業から補填してもらっているというのはインデックスファンドに限った話ではありません

市場原理に基づけば、赤字から回復する見込みのないファンドは、遅かれ早かれ終焉のときを迎えるでしょう。しかし、「パッシブ投資戦略の市場シェアは2024年までにアクティブ投資戦略を抜くことが予想されている」というような情勢下では、赤字状態を本当に心配しなければならないのはインデックスファンドではなく、アクティブファンドなのかもしれません。

参考女性運用者に追い風か-パッシブ投資へのシフト進み、存在感高まる – Bloomberg

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